ITの利用でスタッフの作業効率とペーパーレス化がすすむ

― 順調な出店に見えますが、大変だったことは?

店舗内 画像

5店舗目のオープンから、とにかく閉店後の仕事の多さに参っていました。食材の発注のほか、納品書や請求書を一枚ずつ仕分けして、まとめて計算して、といった作業にホールとキッチンの2名が毎日1時間は残業していたのです。“なんとかしなければ”と思い、ネットで食材を発注できる「BtoBプラットフォーム 受発注」を導入する決断をしました。

― ITの導入で、日々の業務は改善されましたか

まず、発注内容がパソコン内で一覧化されるので、閉店後にスタッフが伝票整理や金額計算で残業することがなくなりました。閉店時間とほぼ同時に帰宅できるようになったのです。

また、営業中でも食材の発注が簡単にできるので、閉店後に何十枚も発注書のファックスを送ることもなくなりました。以前は、魚を発注したつもりで送ったファックスが、短縮ダイヤルのボタンの押し間違いで農家に届いていたというミスがありました。そうした誤発注は納品当日にならないと分からず、必要な食材が届かないという事態につながっていたのです。Web発注では発注記録がちゃんと残るようになったので、本当によかったと思います。

― 電話やファックスでの発注も、引き続き活用されていますね

Web発注は7割で、3割ほどは電話やファックスでやり取りしています。鮮魚の場合、日によって漁港に揚がる魚の種類が異なるため、電話で『今日は◯◯が揚がったよ』という情報をリアルタイムに得ることは、素材にこだわる料理を作る上で重要なのです。自店の事情に合わせて、デジタルとアナログを使い分けているといった感じです。

それでも、ペーパーレス化が一気に進んでいきました。毎月15センチもの厚さの束になっていた伝票類が、今では3センチほどになったのです。保管スペースが大幅に削減しました。また、過去の仕入れ金額を確認する際も、ほとんどの作業はパソコン画面のクリックで可能となり、以前のように伝票の束をめくる手間が省けました。

30年、三世代に愛される地域の店であり続けるために

― 店舗展開や経営方針は、どのようにお考えでしょうか

モットーは「30年、三世代に愛される店」です。当然お子様連れも歓迎しますし、あらゆる世代に共有いただける店でありたいと願っています。世田谷区は、長く住み続けている方が多いんですよ。持ち家のある方も多くいます。そんなお客様に長く愛される店でありたいですね。もうすぐ6号店をオープンさせますが、積極的に店を増やそうとは思っていません。スタッフの実力がついてから出店を決めています。それよりも、一日一日、一組一組、一つひとつの店を大切に、お客様とのつながりを深めていきたいです。

そして、私は経営者として、スタッフの幸せを強く願っています。家族を持って、家を買って、という暮らしを実現させてあげたいですね。何よりも「いなせや」で働いていることに誇りを感じてもらいたい。将来的には、頑張って功績を上げたスタッフに独立支援というかたちで、店舗を引き渡して運用してもらうことも考えたいです。

購買業務の改善・時短・コスト削減を図り、
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